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<個人的事例②> アトピー性皮膚炎と扁桃腺

参考程度のこと



アトピーを悪化させている原因がわからない時に、扁桃腺摘出術を行った時の個人的症例を記します。

あくまでも個人の症例報告なので、参考程度にお読みください。




扁桃腺摘出術に至るきっかけ


MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に感染し激悪化して、アトピーで初めて入院した時のことです。

入院しているとアトピーの患者さんと知り合えて、情報交換できたりします。

今のようにSNSがそれほど一般的でなく、携帯電話もスマホは無くガラケーの時代で、同じ病気の方と直接話せる貴重な機会です。


ちょうど入院した時に、何回も入院している大御所重症者の人たちと一緒になりました。

アトピー持ちの人は重症者ほどシャイな人、殻に籠っている人が多いのですが、その裏側には

「気持ち悪いって思われないかな」

「普通の皮膚じゃないのが恥ずかしい」

「迷惑かな」

なんて思っていますから、目を合わせるのも怖かったり、自分の姿を見られたくないと思っていたり、自分から声を掛けたりするはハードルが高かったりします。

でも、本心は人と関わりたいと思っていますし、苦しい思いをたくさんしているので優しい人が多いです。

同じ部屋にでもならないと話すきっかけもないので、男性だと特にシャイですから、朝は自分から会釈と

「おはようございます」

というのだけを続けているだけでも、廊下ですれ違う時にちょっと話すこともできるようになってきます。

前から入院していた人たちは徐々に退院してしまい、一人の年齢が近い大御所が退院する前日。

退院前に話そうと誘って、消灯後に自販機フロアーの人がいないテーブルに集まりました。

受け持ちの看護師には深夜勤の引き継ぎ前には帰ってくることを告げて。

大御所二人➕新参者

意外にも、大御所たちは集まってじっくり話すことが初めてだと言いました。

大御所たちの壮絶な話に聞き入り、どういうことをやってきたかという話の中に

「扁桃腺摘出をした」というワードが出てきました。

今は医師も言わなくなったが、過去重症者は勧められていた時期があり、やった人も多かったそう。

「摘出してからは前のひどい状態にまでは戻らなくなった」

と同じ感想を言いました。

それでもまだ見た目は、皮膚は苔癬化、痒疹、赤み、皮膚は全体的に土色を呈して、正常な皮膚を見つけられない程でしたが、急性的な悪化した部分は入院で落ち着いたのでしばらくして大御所たちは退院していきました。


私はその後も脱ステを継続中で色々な検査もしつつ、石鹸の使用を禁止され1ヶ月以上シャワーのみ、保湿剤は一日二回担当の先生が塗ってくれて、自分で塗ることを一切許されなかった入院生活を送っていました。

保湿剤を塗った後は、腕、足にはガーゼを当てた上に包帯で巻くことも一日2回行い、その都度新品のガーゼと包帯を使って皮膚の安静を保つ日々。

私はそのガーゼ&包帯で乾燥もしにくく、掻くという刺激も最小限にできたので自分には合っていました。

顔や首なんかは炎症と乾燥がひどいので、一日二回の保湿では足りませんでしたが。

そんな入院生活が続き、背中全体が落ち着いてきて、金属アレルギーのパッチテストができるくらいになり、結果、ニッケルに対してその部分だけ皮膚をくり抜いたかのような皮膚が溶ける強い反応が出ました。

その穴が三日後の教授回診までそのままの状態だったので、教授に少し怒られてそこだけデルモベートを塗られました。

3日間変化しなかったものが、3時間でカサブタが張ったので若い医師はデルモベートの凄さに感動し、私は怖さを感じたのでした。

他成分にも反応が出ましたが、昔手術した脚に金具が入ったままで、その金属にニッケルが含まれていることが判明したので、2週間後に転科して金具を取る手術をして、手術一週間後に抜糸して退院しました。


家に帰って一週間は調子が良かったのですが、一か月後にほとんど前のように悪化して再入院。

せっかく三か月かけて良くなってきたものを3週間で元に戻してしまいました😭


手術後に、皮膚科担当医には

「もし、この手術で結果が出なかったら、扁桃腺を取りたい」と話していました。




どうしてアトピーで扁桃腺を取ろうと思ったか


特に何もないところを手術するということはリスクしかなく、手術するということは組織を痛めて老化が早くなってしまうので、必要に迫られなければ無闇に身体を傷つけてはいけないというのは医学的正論。

昭和生まれなので、「親からもらった身体を傷つけてはいけない」という言葉が頭にあり、耳のピアスすら怖くて開ける気にもならないのに、この手術はやりたい。

というのも、普段から扁桃腺が大きいということが先ずありました。

アトピーがひどくなってきた頃、ある日扁桃腺と軟口蓋(扁桃腺の前にある、左右の半円形の喉ちんこがつながっているところ)の間に黄色の大きな塊があることに気がつきました。

最初は食べ物の残りカスだと持っていたが、うがいしても取れない。

出たり、隠れたりしている。

ピンセットたと届くが、唾がヌルヌルして滑って取れない。

どうしても取りたくて、消毒した耳かきで軟口蓋を押したりすると出てきて、すくって取ることができた。

けっこう大きい・・・

その後奥からまた2個出現。

見たこともない物体だったけど、柔らかかったので簡単につぶせ

ねっとりとして、どんでもなく臭い

後になって、それが『膿栓』というものだと知りました。


それ以降頻回に膿栓が出てくるようになっていました。


話は変わりますが、

父が小学生の時、学校で集団で扁桃腺を順番にジョキジョキ切られ、10分くらい横になりそのまま授業に戻った経験話を聞いていました。

ちなみに、切った扁桃腺は持参したマッチ箱に入れて持って帰らせられたらしい。

さすが田舎で、戦後の昭和。

父の一番下の弟は、体が弱くてあまり小学校に行けなかったけど、扁桃腺を切ってから毎日学校に行けるようになった話も聞いていました。


今まで扁桃腺炎になった記憶はないけど、

・扁桃腺が大きい

・膿栓が出る

叔父の話

これらの私の中にあったものと、大御所たちの話がつながった気がしたことを医師に話していました。


医師が扁桃腺摘出術を認めてくれた理由


実際、それだけでは手術するまでの医学的根拠にはならないのは分かっていました。

そこで、入院中に 扁桃マッサージ検査 をやってくれることになりました。

直接左右の扁桃腺を3分間刺激して反応を誘発させてみるという検査です。

刺激前と後に体温、尿検査、血液検査、その他に異常が出ないかを見る検査です。


これが、思っている以上に辛かった・・・😭

3分間舐めていました。

若い皮膚科医師も私も初めてやるのでどのくらいの加減か分からず、でもせっかくやるので効果を出すために躊躇せず思いっきりやらないといけない。

木製の綿棒、金属の綿棒と変えてもしなったり、力が棒部分のみにかかったことで血が出たり上手くできなかったので、結局医師の指を突っ込まれ、直接指でグリグリしていきます。

綿棒よりは扁桃腺全体に力がかかるのでマシでしたが、吐きそうになりながら口を大きく開け、顔の穴という穴から液体が流れ出てくるため私はガーグルベース(ピンクで半月状の入れ物)を顎下に持ち、つば、鼻水、涙、汗を流した顔を医師の顔の真前で晒しながらやりました。

医師も嫌だろうな・・・

とてもじゃないが3分はお互い辛いので、何回かに分けて合計3分行い

終わったら涙で眼の周囲が痒いけど、しばし放心状態になるくらい疲れます。


刺激後何十分後かに、皮膚に新たな赤い大小の皮疹がいたるところに出始め何日間か出たままでした。

尿検査などは特に問題なかったですが、皮膚には確実に変化が現れ、それを教授回診の時に見せることができ、これで脚の金属を取ってから扁桃腺摘出術という流れができました。

予想外に扁桃腺摘出前に再入院してしまいましたが。





摘出後の経過


術後、手術に反応して皮膚も悪化していきました。

シャワーに入れない日が何日間かあったり、冬のエアコンがきいている乾燥した病室ということもありますが、確実に手術に反応して全身悪くなっていき落屑もすごい量が出ていたので、寝た子を起こしてしまったようです。

それでも、

・扁桃腺は取ってみたら見えているよりも大きかったこと

・裏側や剥がした切断面にも膿栓を多数確認

・扁桃腺からMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が検出された

・確実に皮膚は反応を示した

これだけの結果を得ることができて、これで皮膚も落ち着けば良いなとは思っていたのですが、耳鼻科退院後また皮膚科に再入院してしまうくらいなかなか皮膚は落ち着いてくれませんでした。

その後も一年くらいは入退院を繰り返しながらも

大御所だちが言っていた、

「摘出してからは、前のひどい状態にまでは戻らなくなった」

これだけは実感しました。


まとめ


扁桃腺は咽頭や下の付け根などにもあり(扁桃輪)、摘出したのは口蓋扁桃という箇所のみです。

アトピーの根本解決を扁桃腺摘出にかけていましたが、それほど劇的な変化はありませんでした。

むしろ一時的に皮膚は悪化して、喉風邪をひきやすくなったというマイナス面がありました。

ですが、取らなかった方が良かったとは思っていなくて、MRSAが凸凹した扁桃腺に定着したままも皮膚には悪いですし、何より臭い膿栓が出ないというのが気が楽です。


一年かかりましたが徐々に皮膚もひどい状態には戻らなくなっていったので、

・摘出しても、機能的にはそれほど問題ない箇所

・検査では確実に結果が得られて、手術後も皮膚は反応した

ということを踏まえ総括すると、

やらないよりはやって良かった

という思いです。

ただ、この時は大学病院に入院してはいましたが、まだ『本当のスキンケア』というものが分かっておらず全然できていない20年前くらい前の事だったので、この時からスキンケアというものが理解できて実践できていれば、手術というリスクを取らなくても良かったのかもと今では思います。

トータルスキンケアは手間がかかるものではありますが、低侵襲でコストも安く済むものなので、先ずはトータルなスキンケアを徹底的にやってみることをお勧めします。

※どのような医療行為でもリスクは伴うので、必要性を冷静に判断し、専門家の意見をよく聞いてから決めましょう

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