アトピーが悪化して大学病院に入院していた時のことです。
悪化を増長させていたMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に感染していたことが判明したものの、ステロイド軟膏で皮膚状態を少しでも良くして菌を減らすべく一ヶ月以上1日2回医師による軟膏処置、包帯での保護、医師の言うことをきいていたけど一向に良くならなず、可能性を探るため反対を押し切ってステロイドを拒否し脱ステを強行して更に悪化していました。
これといった原因の特定もできずに滲出液が出て微熱が続き、ただ処置を受けるだけの入院生活が続いていた時、
昔アトピーで入院した人には、病院内の歯科に行かせて口腔内に異常がないかも見ていた。
と同時期に入院していた古参の重症患者さんから情報をもらいました。
『虫歯や親知らずでも悪化することがあるよ』なんてことも古参の患者さんの体験談を聞いて、
歯の金属で掌蹠膿疱症が発症してしまうことや、看護学生の時に病名は忘れましたが整形外科の実習中に両下肢にちょっとの刺激で深い潰瘍が無数にできてしまう患者さんがいて、一説によると歯周病菌かもと言われている病気があるのを見ていたので、自分にも古い銀歯があるし、親知らずも生えてきていて腑に落ちることもあり、受診したい旨を担当医に相談しました。
大学病院の歯科で診てもらう機会もそんなにないことだし、軟膏処置以外はやることもないので病院大好きの私にはとてもワクワクする入院中のイベントができました。
パジャマのまま別棟の歯科に行くのは恥ずかしかったけど、結果

そんな悪いところはないけど、銀歯のホテツは原因になりうるから金属のアレルギー検査をしてもいいかもね。ホテツ科行く?

ホ・テ・ツ??

歯の詰め物のことだよ。『補綴』っていう字(書いてくれた)見たでしょ。ホテツって読むんですよ

あ!
アレ『ほてつ』と読むんですか!初めて知りました!
一つ頭が良くなった後、入院生活にも少し動きが出ることになります。
(このくだりはいらなかったかも。お付き合いありがとうございます。)
今回は補綴物を変えたら湿疹が面白い消え方をしたよ!
というアトピーと補綴をめぐる話です。
個人的事例なので、参考程度の事としてお読み下さい。
歯科の後に金属パッチテストをやってみた
ぼちぼち脱ステの急性期は抜けたものの、パッチテストもギリギリできるかできないか判断が難しい皮膚状態でしたが、背中で行いました。
パッチテストは検査項目を二日間皮膚に貼って、48時間後に剥がして判定。72時間後にも判定するテストで、テープを広範囲に長時間貼るので痒いのです。中には早くからテスト物に反応して部分的にも痒い。シャワーも浴びれません。
金属パッチに加え、洗剤や保湿剤のパッチテストも同時に貼ったので、私には地獄💧
結果的にはこんな感じになりました。

ニッケル 3+
コバルト +
カドミウム +
バリウム +
大きく反応したのがニッケルでしたが、この反応がとんでもなく凄かった。
パッチテストのお皿の大きさに、くり抜いたように皮膚が無くなって穴が開いていました😵
自分では見れないものの、恐る恐る触っても確実に穴が開いてる。穴の底も自分では触れられないくらいバッチリ皮膚が丸く無くなってる💦
溶けた?
そんな形跡もないしどこいった??
血も出ないし、全部テープ類剥がしたからそれほど痒くないし、痛くもないんです。
でも、普通の3+を遥かに超えてました。(普通3+は水泡ができるとかいうレベル)
テープを剥がした三日後が教授回診日だったので、教授に見せようとそのままにしていたら

この状態で三日間放置してたの!?早く治してあげなさい!💢
と教授に担当医が怒られ
教授回診終わったらすぐにデルモベートを持ってきて、脱ステしているのに、『ここだけ!』と言われ渋々塗ってもらったら、三日穴が空いたままだったのに、3時間で何かが張って(見えない)穴が塞がりました。

デルモベートすごいー!!!

三日変化なかったのに3時間でここまで塞がって怖いよー😭
その跡は皮膚がテストチップの形に丸くぷっくり盛り上がり瘢痕化してしまったくらいです。
ここまで反応が出たら、歯科に行くと思いきや、私の場合は違いました。
8年前同じ病院で手術をした時の金属が脚に入ったままになっていたので、整形外科に問い合わせ、金属にニッケルが含まれている釘であることが分かります。
そこで転科をして手術をして抜釘し、術後抜糸して一旦約3ヶ月の入院生活が終わりました。
というのも、手術後に急激に全身の皮膚が回復し、完全では無いもののかなり綺麗になったのです。
しかし金属を取った次の日から急激に体内の金属成分が抜けるというものでもありません。
なので術後急に良くなった理由を考えました。
一か月以上ぶりに手術前に手術野を清潔にするために石鹸で皮膚を洗ったから!?(接触性皮膚炎の可能性を探るため石鹸、シャンプー使用禁止だった)
若い男性医師が多いからホルモン活性化!?(整形外科は性格明るめの男性医師が多い。病棟自体なんか雰囲気が明るい故にちょっと楽しい)
手術日から絶食になり、空腹状態で胃腸が元気になって毎食後排便出るようになったから!?
(胃腸に関しては検証する為、8か月後に京都の断食・漢方・酸性水を使っている病院にまで行って入院することになったのですが、一時的に下肢が良くなっただけで帰ってくると時間と共に元に戻りました)
結局は手術の後に何日間か使った抗生剤の点滴が一時的に全身の皮膚を著しく回復させていたことに後々気づくのですが、退院後一ヶ月で皮膚は元に戻り、皮膚科に再入院になりました。
三か月弱皮膚科入院 → 整形外科で手術 →一月後に一か月 皮膚科入院 →次の年になり扁桃腺摘出術 → 反応して一か月くらい皮膚科入院 → 親知らず抜く → 反応して一か月くらい皮膚科入院 → 夏に2週間京都の病院
確かこんな流れで、もう一回3週間くらい入院したように思いますが、いつだったかあまり覚えていません。
京都の病院以降は入院しないといけないくらいの急激な悪化はないものの、それでもまだほぼ全身に症状が出ていて普通ではありませんでした。
親知らずを抜いても一時的に皮膚が悪化しますが、これといってどこか良くなるということはありませんでした。
ここまで皮膚のために色々やったのに派手な結果も伴わないので、やっと歯の金属が浮上してきます。
パッチテスト1年後に面白いことが起こった
あまりにニッケルの反応が凄すぎたのと、補綴部分に不具合がなかったために優先度が低く後回しになっていました。
補綴物については10年くらい前に詰めたものだったし、色々やってもダメだったのでコバルトに望みをかけて補綴物を近所の歯医者で変えることになりました。

まだ皮膚の状態も酷くて2週間に一度皮膚科に行く時にしか外に出られる状態ではなかったので、なるべくなら一気にやりたいと歯科医に相談したところ、4・5本あるので1日は無理と断られたのですが、
「詰め物が化学物質だと心配でしょ。金だと安定した物質だしアレルギーも出にくい。自費だから2日に分けてやってやっても良い」
と歯科医が電話かけてきて本気の商魂出してきたので、詰め物を金に全て変えることにしました。
「右側、左側に分けて治療しようか」
と歯科医から提案があり、これが面白い結果を生む事になります。
まずは左側の上下を金に変えました。
その1週間後、左下腿(膝から下)だけ普通の皮膚になりました。
アトピーは基本ほぼ左右対照に症状が出る疾患ですが、この時点で左右差が出ます。
左右差が続く中、そのまた2週間後くらいに右側上下を金にしました。
交換1週間後くらいには、右下腿の症状だけ普通の皮膚になりました。
一年半続いた両下腿の湿疹が綺麗に消えて、それ以降現在まで症状が出ていません。
そもそも、膝から下は脱ステしてから酷い症状が広がったところで(足の裏は綺麗)、それまでアトピーが出たことがない部位でした。
それが歯の治療に合わせて分かりやすく反応を見せた。
もちろん単なる金属アレルギーだけでなく、少し中を削って菌を綺麗にしてから入れているので、そういうことも関係しているかもしれません。
部分的な反応のみで全身が良くならなかったのは残念ではあるけれど、両下腿の症状が無くなっただけでも身体的にも精神的にも楽ですし、ここまで顕著に分かりやすく反応が出たのが面白かったのです。

実は大学病院での最後になった入院時に、もう一度金属パッチテストを行いました。抜釘後10ヶ月くらい経った時(補綴物を変える前)にどのくらい変化があったのか判断するためです。
パッチを背中に貼った2時間後、背中全体が猛烈に痒くなり主治医に診てもらったら、背中全体ボコボコになっていると。
せっかくテストしているからと二日我慢して外してみたら、状態が悪くなり過ぎて判定不可能(涙)

こんな酷い状態でパッチテストしたの💢
と、教授回診の時に静かにキレられ、
主治医と貼ってから悪化したのだと焦り💦ながら弁明して、踏んだり蹴ったりだったにも関わらず、結局金属アレルギーが軽快したのか、かえって酷くなったのかよく判らなくて、ニッケルの経口負荷検査もしましたが顕著な結果は出ませんでした。
考察
歯の金属アレルギーは、口腔内でイオン化されたものが腸で吸収され、汗などから排泄され全身に影響を及ぼすと言われています。
歯の治療を行ったら皮膚が良くなった症例報告はつい最近の日本アレルギー学会での発表でもありました。
ですが、補綴物の素材を変えるだけでなく、中を再度少し削って綺麗にして効果が出ると言っていました。
私の場合少なからず問題なく付いていた銀歯を削り取ったので、それまでの接合面は少しは削ったと思います。
中で虫歯が進んでいたとも言われなかったですが、綺麗にしてもらったことも関係しているかもしれません。
脱ステを契機に広がった症状は細菌感染による悪化だったとしても、たまたまその時期に金属アレルギーも発症したのか
金属アレルギーが発症したとしても、なぜ発汗の少ない下腿だけ治ったのかという理由もよく解らず、人体の不思議としか今のところ考察できません。
でもコバルトには少なからず反応したのは確実だと思うのです。
※私はビタミン剤を飲むと主に上半身の皮膚が悪化します。ビタミンB12にはコバルトが構成成分なので、それが関係しているかもと医師に言われたことがあります。
入院仲間でも歯は下肢に効果が出やすいと言う人が何人かいました。
※金属アレルギーに関する参考論文です

まとめ
銀素材(アマルガム)は使用禁止の国もあります。
密着度が低いことで中で菌が繁殖することもあり、後々アレルギーを発症する可能性があるものはアトピーやアレルギー持ちでなくてもあまり良いものでもなく、下手をすると1年も持たないこともあり、審美性に欠け金銭的なメリット以外あまり無いものです。
私は中学生の頃銀のインレー(詰め物)になりましたが、同じ箇所をちょっとずつ3回は削って、今はクラウン(かぶせもの)になっています。※神経は残っています。
過去はもうどうしようもないですが、少しでもアトピーが軽くなったのは良いことでした。
長い人生虫歯が再発しない保証がないので、少しでも長く使えるものを選ぶと歯を削る回数も減り、高齢になるまで自分の歯を残せるかもと希望を持って治療法を選んでいます。お金の工面は大変ですが。
もちろん毎日の歯の手入れが何よりも大事なのは言うまでもない事です。
慢性的な炎症が身体のどこかにあると、アトピーも悪くなる傾向があります。それを予防するためにも歯の手入れは重要なケアの一部です。
皮膚から見た面だけでなく歯は本当に大事な身体の一部で、自分で問題が起きないように手入れがしやすく、結果がきちんと伴う部位でもあります。
最低でも一年に一回は保険診療で良いので、歯のチェックとクリーニングをしてもらいましょう。
歯周病も色々な病気を起こす原因になるので、歯を綺麗にして何も損はないです!

小学生から歯列矯正をやって、定期的に通っていたのに矯正終わってから虫歯がいっぱいできてる(それも簡単に見える咬合面。もっと初期に指導してよ💢)と言ってくるような歯医者だったので、歯医者選びは本当に大事。
過去の歯科治療には今でも後悔しかありません。結果かなりのお金使っているし、悔しいです。
見えにくい奥歯なら顕微鏡で治療してくれるところがオススメ。自費が多いけど、奥歯は力が入るところだから痛みやすいし、しっかりした素材を最初から入れておく方が長持ちしてくれて、顕微鏡なら奥でも見やすく精密に削ってくれるので、自分の歯や神経が残せることもあります。
自分の歯ということと、神経が有るのと無いのではとても大きい違いですよ。