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【必読】アトピー性皮膚炎とは

病気

皮膚疾患は難しい

アトピー性皮膚炎は、原因の個体差が大きい病気です

その個別の原因を見つけて対処するには、多くの経験と原因を究明する時間が必要です。

アトピーに限らず、

『湿疹』は見た目「だけ」だと、正しい診断ができません。

その湿疹が、細菌性なのか、アレルギーなのか、接触性なのか、他の疾患によるものなのか

見分けるためには、経験と知識、丁寧な問診が必要です。

スパッと手術や投薬で治ることもなく長期化する疾患ばかりですし

何より検査でも結果を得られにくいので地味に診断が難しいのが皮膚科です。

アトピー関連の血液検査で色々な検査をやったことがあると思いますが、

異常値が出ているからといって、症状が出ていなかったり

症状が出ているのに、数値は全く正常値ということはよくあることです。

数値に顕れるのにタイムラグがあるものもあります。

パッチテストやプリックテスト、皮内テストの方が正確ですが、これらも必ずしも正確な診断に至る結果が出るわけでもないです。

日本アレルギー学会のホームページ上でも、IgE抗体検査は『診断の参考に』という文言が出てくるくらいです。

ときどきナース
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実際私も、

卵と乳製品を食べると何かしら皮膚や粘膜に症状が出ますが、

血液検査、クリップテスト、皮内テストでは何も異常が出ません

20年くらい前ですが、IgE抗体検査に関しては、正確さは40%くらいと医師に言われました。

数値もけっこうそのときどきで変化しますよね。

ですから、普段の生活や職業、住環境、スキンケアなど細かく問診をして

生活の中にある原因を丁寧に探る問診が皮膚科では重要な手がかりとなります。

その丁寧な問診にも、病態を把握していないと質問のポイントがズレますし、足りないことも出てきます。

そうすると結果的に、満足する指導や治療に辿り着けなくなったり、治療効果が得られないということも起きてきます。

 
 
 

現時点でのアトピーの病態を理解しよう

※アトピー性皮膚炎診療ガイドラインが更新されたことにより一部修正、追記しました。

このサイトでのスキンケアの前提または根拠、理由となるアトピー性皮膚炎の病態や悪化要因について、述べていこうと思います。

こちらを理解して頂かないと、スキンケアの重要性も理解できないと思いますので

【必読】としました。

ときどきナース
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といっても、アトピーの病態については既存の専門のサイトの方が詳しいので、おすすめサイトを見てね。

 それぞれのサイトでグロい写真があります。弱い方は注意してください

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021

ちょっと難くて長いですが、病態や検査など現在の日本での標準が記載されています。

※2021年度版に更新されたのでリンク先を更新しました(2022年8月)

MSDマニュアル プロフェッショナル版 アトピー性皮膚炎
※2024年9月リンク変更しました

MSDマニュアルプロフェッショナル版は、外国での標準です。
このサイトでのスキンケアの根拠になりうる一番近い病態や対処法が書かれています。
 ※スキンケアに関しては、これだけでは足りませんので記事にしていきます。

「支持療法」や「誘発因子の回避」には特に「感染」からの視点で対処するものが書かれていて、
鼻腔内に住み着いてる細菌に対処することも治療に有効とするくらい細菌が悪化原因の一つというのが標準の考えです。

易しく書かれた家庭版もあります。

MSDマニュアル 家庭版 アトピー性皮膚炎

色々と書かれていますが、スキンケアに重要な根拠となる病態をまとめると

  • 生まれ持っての角質、保湿先駆体に関わる遺伝子に異常がある
  • 遺伝子異常により皮膚のバリア構造が弱く乾燥している
  • 保湿成分も少ないスカスカな皮膚では外的因子やアレルゲンにも感作しやすくなる
  • 黄色ブドウ球菌など細菌は繁殖に水分が必要なので、バリア異常で水分蒸発も多いアトピー性皮膚炎の皮膚環境は細菌に好まれる
  • 黄色ブドウ球菌はアトピーの悪化原因の一つ

基本はこれを念頭に入れてスキンケアを行っていくのですが

皮膚状態が悪い期間が長かったり、薬の使い方によっては皮膚が薄く弱くなりすぎていたり

女性特有の悪化原因もあったりと

人によって、性別によって、生活様式・環境によって様々に

また、幾重にも原因が重複しているため

これだけやれば治るというものでもないのが現状です。

そこで、少しでも分かりやすいようにまとめた図を作成しました。

アトピー性皮膚炎の現状と要因PDF

8つのアトピーを形づくっている要因

 
図の順番ではなく、重要度で説明していきます。

①フィラグリン遺伝子の異常 生まれ持っての皮膚の脆弱性

2006年に発見された、フィラグリンという皮膚の角化に欠かせない機能と保湿因子に関わるタンパク質が遺伝子レベルで先天的におかしくなっていることで、

正常な皮膚が作られていないということが解っています。

これは変えにくい科学的な事実で、悪化原因の根源です。

正常な皮膚ならばターンオーバーという皮膚が入れ替わるサイクルが1か月から45日くらいと言われていますが、アトピー性皮膚炎の皮膚は、その半分くらいで入れ替わってしまっているが故に、乾燥だけでなくとてもスカスカで脆弱な構造異常が先天的にあります。

ADとの関連が報告されている遺伝子は,表皮および免疫系のタンパク質をコードする遺伝子である。ADの重要な素因の1つに,分化途中の角化細胞が産生する周辺帯の成分であるフィラグリンタンパク質の遺伝子変異があり,この変異は多くの患者でみられる。

ADによる表皮バリアの障害としては,セラミドおよび抗菌ペプチドの減少と経表皮水分蒸散量の増加も知られており,それにより環境中の刺激性物質やアレルゲン,微生物の透過量が増加することで,炎症と感作が誘発される。

MSDマニュアル プロフェッショナル版 アトピー性皮膚炎 より引用

ですが、このフィラグリン遺伝子に異常があるからといって、必ずしもアトピーになるというわけでもなく、

喘息や食物アレルギーの患者さんにもこの異常があることが認められていていますが、発症していない人もいるそうです。

このフィラグリン遺伝子に異常がある方の特徴として、

手のひらの親指の付け根の膨らみ(母指球)にシワが多い

ということがわかっています。

こちらの著書にも書かれています。(113ー115)

ときどきナース
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私も小さい時から手のひら全体にシワが多くて、他の子にくらべてどうして自分だけシワが多いのかと思っていました。

手相占いはどの線見ていいのかわからんのです。

発症していなくても、手のひらにシワが多い人は、気をつけた方が良いかもしてません。

でも、

どうしてそんな異常な遺伝子ができてしまうの?

化学物質のせい?

食べ物のせい?

遺伝子といっても、必ずしも親から受け継いだ遺伝だけでもなく、受精卵が核分裂していく過程で突然変異が起こることもありますし、これだけが原因ということは今のところ解っていないようです。

「意思に関係なくそういう遺伝子ができてしまった。」というしかないです。

ただ、アレルギー体質は遺伝することが多いですね。

ときどきナース
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知り合いの夫婦は病気もなく健康で四人の子持ちですが、その内二人に心臓の先天性疾患が現れてしまいました。親族に全く心臓疾患を持つ人がいないのにです。

病気を持つ子どもに産みたいと思っている親なんかいません。誰もが健康に生まれてきて欲しいと思っています。

でも、意に反して突然現れる自然事象があります。

とても酷なことですが。

遺伝子に異常が生じてしまった原因にフォーカスしても、今のところ遺伝子治療ができるわけでもないですし、今現れてしまっている症状に対応できる策にはなりません。

先天的で今のところ変えられない遺伝子異常より、今困っている症状、例えば乾燥などに対処することにフォーカスしていきましょう

その対処法が、自分で自宅でできるトータルスキンケアです。

② 細菌、真菌感染(ヘルペス含む)

この悪化原因については、アプローチしやすくて、結果も早くついてきやすいですが、すぐにぶり返しやすいものでもあります。

汗はアトピーの悪化要因ですが、汗をかくと皮膚表面にブドウ球菌が繁殖し『バクテリアフィルム(バイオフィルム)』という膜ができたり、

マラセチアなどの真菌が出てきてしまうこともあり、抗菌ペプチドが崩れ悪化します。

表皮の細菌が悪化原因というのは、もう動かせない科学的に実証された事実なのですが

正直、この原因に対して日本と海外では温度差があると思います。

前述の

ADによる表皮バリアの障害としては,セラミドおよび抗菌ペプチドの減少と経表皮水分蒸散量の増加も知られており,それにより環境中の刺激性物質やアレルゲン,微生物の透過量が増加することで,炎症と感作が誘発される。

※ AD:アトピー性皮膚炎

MSDマニュアル プロフェッショナル版 アトピー性皮膚炎 より引用

と、

小児アトピー性皮膚炎患 者の皮膚において,増悪期には皮膚細菌叢の多様性が 低下し,黄色ブドウ球菌の割合が増加することが報告 された183).動物モデルでは,黄色ブドウ球菌を含む偏っ た異常細菌叢によりアトピー性皮膚炎様の皮膚炎を生 じていること,抗菌治療にて正常細菌叢が保たれると 皮膚炎の発症を抑制できることが示された184).しかし, 皮膚細菌叢とアトピー性皮膚炎の病態との関連性につ いて十分に検討されたとはいえず,今後の研究結果の 集積が必要である

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018 2469ページ 3.5(7)細菌、真菌 より引用

※追記 ガイドラインが2021年度に更新されたことにより菌による悪化に関し追加修正(青のアンダーライン部)がされています。2734ー2735ページ 3.5(4)発汗、(5)細菌・真菌 要参照

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021

小児アトピー性皮膚炎患 者の皮膚において,増悪期には皮膚細菌叢の多様性が 低下し,黄色ブドウ球菌の割合が増加すること228),ア トピー性皮膚炎患者では特定の遺伝子系統型の黄色ブ ドウ球菌株が見いだされやすいこと229),などが報告さ れている.動物モデルでは,黄色ブドウ球菌を含む偏っ た異常細菌叢によりアトピー性皮膚炎様の皮膚炎を生 じていること,抗菌治療により異常細菌叢が是正され ると皮膚炎の発症を抑制できること,が示された230). しかし,皮膚細菌叢とアトピー性皮膚炎の病態との関 連性について十分に検討されたとはいえず,今後の研 究結果の集積が必要である.

二つを比べてもらうとわかると思います。

今現在断定しいるか、していないかという差があります。

断定していることによって治療法に差があります。

悪化原因の一つとされる黄色ブドウ球菌に関して

黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureusは健康な成人の約30%の鼻腔に存在し(通常は一時的)、約20%の人の皮膚に存在します。入院患者や病院で働く人では、この割合がさらに高まります。

細菌は汚染された物体(ジムの器具、電話、ドアノブ、テレビのリモコンやエレベーターのボタンなど)に直接触れたり、それほど多くはないものの、くしゃみやせきの飛沫を吸入したりすることで広がります。

この細菌を保持しつつも、症状が現れない人はキャリア(保菌者)と呼ばれます。キャリアであっても、手で触ることで鼻から体の他の部位に細菌を移動させ、ときに感染症を発症することがあります。入院している人や病院で働いている人は、キャリアである可能性が高いです。

MSDマニュアル家庭版 感染症/細菌感染症:グラム陽性細菌/黄色ブドウ球菌-感染症 より引用

この鼻に存在している細菌が鼻から他部位に移動してしまうという科学的な事実から、

ブドウ球菌に有効な抗菌薬は,外用薬(例,ムピロシン,フシジン酸[塗布は2週間以内])と経口薬(例,ジクロキサシリン,セファレキシン,エリスロマイシン[いずれも250mg,1日4回投与を1~2週間])の両方があり,膿痂疹毛包炎せつ腫症 など皮膚の細菌性重複感染の治療に使用する。黄色ブドウ球菌(S. aureus)の保菌量とADの重症度を低下させるためにムピロシンの点鼻薬も使用できる。

※ AD:アトピー性皮膚炎

こういった方向からの治療もできてくるのです。

鼻についた細菌が、鼻の毛細血管から分子量の小さいタバコの煙と一緒に体内に侵入して皮膚の下に住み着くというという説も聞いたことがあります。

私は、細菌に対処する治療とスキンケアをおこなうことで、少なからず強い痒み、ジュクジュクした状態にはならなくなりました。

※ムピロシン(日本名:バクトロバン)は、現在日本ではアトピーで処方はできません。難しい手術前などに感染防止のため使われる強い薬です。乱用されて耐性菌ができてしまうと医療界はとても困るので、使っても月に一度三日間だけ鼻腔内に使います。

ときどきナース
ときどきナース

私のアトピーがひどくなり始めたのは、看護師として病棟に勤務してからでした。

悪化の原因は夜勤で不規則な生活かな?ストレスかな?なんて思って、仕事を辞めてみましたが、一向に良くならず発熱が二週間続き、5kg一気に痩せ入院。色々な所からMRSAが検出されました。

ステロイドは効かず、別案件で使った抗生物質の点滴がアトピーに一番効きました。

入院先の病院で繁殖しているMRSAのDNAと、私から検出されたMRSAのDNAが違いました。

結局原因は、病棟勤務時代に付いた菌による悪化の可能性が大きいです。

病院に勤めている人の鼻腔にいる菌が、院内感染の媒介となってしまうということは、医療従事者の中で知らない人はいないでしょう。

※ MRSA:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌

『皮膚に感染』というと、どういうことをイメージしますか?

腫れて、化膿したり、赤くなって痛みが出る、「よう」「せつ」「蜂窩織炎」などのようなものを思い浮かべると思います。

アトピー患者の皮膚の『感染』といわれると、とびひ(伝染性濃痂疹)やカポジ水痘様発疹症を思い浮かべるかたも多いでしょう。

それらは急性的な感染症なのですが、慢性化する感染症もあって、例えば

  1. 水虫も真菌(カビ)が感染したもの → 治りづらく、ぶり返しやすいですい
  2. ヘルペス → 発症すると抗ウイルス薬を服用して一見治ったと思っても、免疫が下がるとまた出てきてしまいまう。ほぼ毎月ずっとアシロクロビルを内服して発症を抑えている人もいる。ヘルペスウイルスが出てくるとアトピーがひどくなる人もいる。

があります。

健康な人の皮膚でも、菌(又はウイルス)に好都合な環境が整えば、繁殖しジュクジュクしてきたり、強い痒みが出る感染という状態を作り出します。

感染と言っても、菌の種類や住み着く場所によって症状が変わりますが、

何かしら炎症を起こすことは共通しています。

アトピーの湿疹はまさにこれなんです。

アトピーの皮膚は、何もしていなければしていないほど感染する条件が整っています。

生まれながらにして菌に好都合な条件が整ってしまっていると言っていいでしょう。

保菌者となってしまったならばなおさらです。

今のご時世マスクを長時間していて、マスクかぶれを起こす人が多いと聞きますが、

その原因が擦れ刺激、乾燥、蒸れによる細菌の増殖によるものだということですが、アトピーはマスク無しでこれと同じようなことが常に皮膚で起こっていると想像してもらうとわかりやすいかなと思います。

皮膚がスカスカでアレルゲン、微生物(菌)の透過性が

高いことで感作から炎症を起こしやすい

皮膚がスカスカで水分蒸発が著しい多湿な皮膚では、菌が繁殖しやすい

炎症を起こしてしまった状態の悪い皮膚では正常な細菌叢が

壊れ悪い菌が生息していられる。

そしてスカスカの皮膚の奥にまで入り込んでしまえて、

除菌されても条件が整えばすぐに繁殖できる

全身状態が悪くなれば免疫も落ちてくることにより菌にはさらに好条件

本当に悲しいくらい悪循環です。

そして、菌は繁殖できる条件のところに2メートルくらい軽く飛んでいけたり、繁殖できる条件が整うまで息をひそめて何年でも待ちます。

真菌(カビ)は空気中にも浮遊していますしね。

ときどきナース
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健康体で本人も自覚症状がないのに真菌感染を起こしている食道を、内視鏡に従事していると度々見ます。

『食道 真菌感染』で画像検索してみてね。

食道の真菌感染を毎年の内視鏡で確認していたけど治療せずにいたら、何年後かにその患者さんが失明して、原因を調べたら食道から血行に乗って真菌が網膜に住み着いて、何年もかけて少しづつ繁殖して失明に至ったという症例もあります。(真菌性眼内炎)

菌はとても生命力が強いですね。

抗生物質や、抗ウイルス剤で治療しても、またぶり返すのがアトピーです。

そのぶり返しを予防、対処し、影響を最小限にするのが

トータルスキンケアです。

③ アレルギー

アレルギーが強い方は、結構外見で見分けがつきます。

服から出ている部位の皮膚が土色(色黒とはちょっと違う色)、又は皮膚の奥から強い赤みを帯びて、眼の周囲に深いシワがある人が多いです。

アトピーの人はほぼ何かしらアレルギーを持っていますが、皮膚の状態が悪い期間が長いとアレルギーの種類が増えたり過敏性が増したりします。

皮膚バリアがスカスカであれば、そこからアレルゲンが入ってきやすく、さらに炎症を起こさせ、皮膚の状態を悪くします。

アレルゲンに接触している状態が長ければ長いほど、皮膚の状態が難治化し、ステロイド軟膏、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤では効かない人も多いと思います。

今できる最新でかなり有効な治療法は生物学的製剤です。

ですが、この生物製剤も止めてしまえば重症者ほど元の状態に戻ってしまいます。

免疫をピンポイントに抑えることはできますが、治すことはできません。

生物学的製剤もあまり効かないという人は、細菌を考慮したケアもすることをオススメします。

唯一治す事ができる確率が高いのは、免疫療法です。

少しずつアレルゲンを経口か皮下注射で入れて免疫を獲得していくものですが、治療期間も長く、治療できる種類が少ないのでアレルゲンがいっぱいある方には物足りない治療ではあります。

海外ではもっと進んだ方式(イミュノセラピー)と、多くの注射液の種類がありますが、それでも治療には何年もかかり、アトピーの人の治療は喘息の人よりも免疫療法が難しいと聞きます。

反応するようになってしまったものを完全に出なくするにはとても時間がかかり、下手すると一生イミュノセラピーを続けないと症状が出るということもあったりで、必ずしも完治するといわけでもないのが現状です。

ただ、ヨーロッパの方の研究で、リンパ節に直接少量の注射液を注入すると免疫獲得が早く、それも何カ月かに一回の注射で良いという論文もあったと知り合いの医師が教えてくれたので、近い将来日本でもできるといいなと希望を持っています。

ときどきナース
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私もイミュノセラピーをやりましたが、通常の濃度の百分の1、量も三分の一まで落としても全身の皮膚に炎症が強く出てしまい、治療する前より皮膚がひどくなってしまったので、ドクターストップ。(泣)

現在は新薬の生物学的製剤で抑えないと、まともな生活を送れないくらい上半身に症状が出てきてしまいます。

乳児期からアトピー、食物アレルギーを起こさないために、生後すぐから保湿を徹底することことが推奨されるようになりました。

きちんと保湿ができれば、30%くらい発症率が下がるそうです。

薄くて脆い皮膚にタンパク質(アレルゲン)が繰り返し付くと、乾燥、炎症がある皮膚では入ってきやすくなり、アレルギーを起こしやすくなるということが分かってきたからです。(経皮感作)

今までは、乳児のアレルギーは母親が食べたものが母乳に少なからず出ているからと疑われ、母親まで食事制限していたりもしましたが、

今は部屋に残っている微量のものが、皮膚から入ってきたせいでアレルギーを発症させやすくしているということが分かってきました。

一見乾燥もアトピーも無さそうな子どもでも、スキンケアを怠るとアトピー、食物アレルギーが出る頻度が高くなるという事が分かってきたので、大人でもアトピーがある人は、なおさらスキンケアをちゃんとやらないといけないです。

アレルギーに対しては、アレルゲンを身体の近くに寄せ付けない、除去、入ってこさせないという事が今から自分でもやれることです。

その方法がトータルスキンケアです

④ 接触性(外的要因)のトリガー

アトピー歴が長くなると・・・

〇〇石鹸に変えたらアトピー良くなったよ。

普段肌に接していたものを変えたら良くなったと言われて、商品を勧められる事があります。

ときどきナース
ときどきナース

それって、接触性皮膚炎ではないですか??

アトピーはあるのでしょうが、変えたら良くなるって、接触性の皮膚炎ですよと思っていますがそこを指摘するのが面倒。

善意なのは分かりますが、実は商品を買わせる方向に持って行かれることもしばしば。。。

普段使っているものが、アトピーを悪化させていることがあります。

衣類一つ見ても、洗濯洗剤の種類に限らず、服の素材、染料にも反応したり、縫い目に残った洗剤成分や汚れ、洗濯槽の汚れ、前回の洗濯してからの着用回数、期間、乾燥方法がトリガー(引きがね)となります。

エアコンから吹き出した風、PM2.5などなど、日常の中に無意識にあるものが悪化のトリガーとなっている場合があります。

保湿剤全般、ワセリン類までも悪化して使えないという人もいました。

アレルギーや細菌と被っているところもありますが、止めたり、変えれば効果がわかりやすいのが接触性の(外的要因)トリガーです。

また、外的要因によって接触性皮膚炎を起こしたところに感染してとびひを起こすことがあるので、接触性皮膚炎があれば、なるべく早く治しておくのが安全です。

外的要因のトリガーも細かく丁寧に探して対処をするのが、トータルスキンケアです。

⑤ 遺伝的なもの、体質

皮膚の構造異常とアレルギー以外のものです。

すぐには変化しませんが、年齢や体型で変化していくことがあります。

アトピー性皮膚炎の人には、発汗異常があるということはしばしば言われることですが、発汗はアトピー有り無しに関わらず個人的な体質が元々大きいので、異常かどうかという判断は難しいですね。体型でも違ってくることがありますし。

アトピーにおける発汗異常は汗をかきにくいという量が少ない方を指すようですが。

汗が出なければ天然の保湿成分が出ないということでもあり、

逆に汗が出すぎれば、細菌が繁殖しやすかったり、汗を拭くことで擦れたりということもあります。

汗は体温を下げるために出るので、皮膚の表面温度変化は、刺激と感じ痒みが発生してくる場合が多いです。

ときどきナース
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私はアトピーひどくなる前からかなり汗っかきなので、汗対策しないとすぐに悪化してしまいます。

もう一つは、

女性特有の悪化要因、月経です。

排卵日、月経前に悪化する人は結構います。

しかし、月経が終わると急に悪化した皮膚が落ち着いたりします。

アトピーがない健康な皮膚の人でも、ホルモンバランスで肌が荒れますので、アトピーが悪化してもおかしくありません。

昔、女性でアトピーが治るタイミングで、妊娠、出産すると体質が変わるので治る可能性があると言われましたが、その逆も然りで悪化してしまうことがあります。

要は、女性ホルモンの変動はかなり皮膚には影響が大きいということです。

ときどきナース
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私は月経前から化膿しやすくなり、どこかしらに痛みがある膿瘍ができたり、ニキビがふえます。治療してある歯に痛みが出ることもあります。

そしてとても皮膚が敏感になり、普段使えているものにも症状が出てきてしまうことがあります。月経が終わるとスッとそれらのことがなくなるのです。

婦人科では低容量ピルを、避妊や月経不順だけでなく、肌荒れ、ニキビで処方することも多いです。

低容量ピルを服用できる年代の方であれば内服をオススメしますが、薬を飲むということが嫌いだったり、副作用が怖いという方が多いので、せめて基礎体温をつけてご自分の体質の傾向をつかんで下さい。

アトピーの重症者は、脱ステしたり、食事療法をしている人も多くタンパク質が皮膚からボロボロ出ているのに栄養を補給せずに痩せている人も多いので、月経不順や無月経が出てきたりもします。

そういった状態が長く続きますと、子宮が小さくなってしまい、将来子どもが産めなくなってしまうこともあります。

特に思春期の女の子がアトピーの場合は、毎月の月経の有無をご本人も家族も把握しておくに越したことはないです。

こういう細かいことまで視野に入れてケアしていくのが、

トータルスキンケアです

⑥ 薬歴

年齢が若くて、薬もあまり強いものを使ってこなかったという方にはほとんど当てはまらない要因ではあります。

薬を過度に恐れることはないですが、使い方によって大変なことにもなる要因ではあります。

専門医でもないのに、簡単にステロイドを使わせることがあるからです。

トリガーを見つけずに、使用期間、量、塗り方の指導もしないのに処方していることも多いので、患者も長期間漫然と使い続けて大変なことが起こることがあります。

その一つが、リバウンドです。

そして強さが合っていないものを使用して皮膚が薄くなりすぎたりすることもあり、薬の種類(強さのランク)も大事になってきます。

他院でアトピーを治療している患者さんが別の症状で受診してきて、

二年間

セレスタミンを内服しているという方がいました。

ボスも、私も凍りつきました。未だにこんな処方する医師がいるのかと・・・。

後でこそっと聞いたら、院内処方で薬剤師も介在していないようでした。

これは完全にアウトな事例ではありますが、

もう元には戻れないような、不可逆変化を起こしうることがありますので、

薬の使用歴は把握しておくことが必要です。

自分が今まで何を使ってきたのか、何を使っているのか、お薬手帳を使っても使わなくても、きちんと把握しておきましょう。

こういった極端な事例には対処できませんし、薬に関しては医師や薬剤師の指示に従って頂きたいのですが、

正しいスキンケアを行うことで薬が効きやすくなれば、薬の量やランクを下げることも可能になってきます。

軽症の方はスキンケアと時々の薬使用で良い状態を維持または、寛解状態にまでもっていくことを目標にしているのがトータルスキンケアです。

⑦ 部位、範囲

汗がたまりやすく、服で擦れやすい内側の柔らかい皮膚がある関節がアトピーの症状が出やすい部位であるのは周知の通りです。

症状が出ている部位や範囲の観察は大切な情報でもあります。

トリガーを考え探った上で、部位にあった適切なスキンケアを行うのに必要です。

⑧ 年数

炎症が出ている期間が長ければ長いほど皮膚が傷んでいて、一旦良い状態になってもすぐに元に戻ろうと皮膚は記憶してしまっていたり、傷が深ければそこから皮膚の劣化が始まるので、症状の程度が重要ではありますが、年数も気をつないといけません。

薬をほとんど使わなくて良いくらい症状が出なくなっても、年数が長ければちょっとのことですぐに悪化してしまうので、

その時だけではなく、維持するためのセルフケアを継続的に行えるように、日常に無理なく取り入れて行える方法を探るのがトータルスキンケアです

まとめ

生物学的製剤がこれから続々と発売され、治療方法の選択肢がやっと出てきました。

医療に携わるものからすれば、苦しんでいる患者さんを良くすることができないというのはとても辛いことです。

この停滞した状態であった治療方法に風穴を開けてくれ、明るい光をくれるものができたのは素晴らしく嬉しいことです。

ただ、

重症でないためにこの治療にたどり着けない人

たどり着いても効果が得られない人

新しいものを使うのが怖くて他のものにすがりついている人

 

色々な状況の方がいますが、苦しんでいる人はまだまだたくさんいます。

 

まずは、悪化原因をきちんと把握して、科学的、理論的に合ったスキンケアを

自分で、自宅で、それほどお金もかからずに少しでも良い状態にもっていってもらうことが、トータルスキンケアと銘打ったケアとこのサイトの目的です。

 

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